夢。

2006年7月3日
こないだ、昔からの知り合いに会うために新宿駅の南口に行ってきた。

新宿駅南口。
そこを出ると目の前に甲州街道があるんだけど。
そこは、俺が前の大学を辞めてフリーターをしてた頃、警備員をやってた現場で。

それは、今から5年前。

あの頃は、自分の夢が具体的にイメージ出来なかった。

「将来何になるのか?」「自分が何をしたいのか?」
そんなことを考えられなかったし、考えてるヒマがなかった。
ただ毎日決まった現場へ行き、生活のためのお金を稼ぐ日々。

厳密に言うと、夢がなかったわけではない。
だけどそれは、“夢”というに相応しい、現実味のないまさに“夢”でしかないもの。

「50を過ぎたら、海辺の近くで喫茶店を開きたい。」

そのために何をするわけでもない。
現状を考えれば、とうてい無理な話。
だけど、50になる頃には、叶える事が出来ているかも・・・。
そんな風に、絵に描いた現実味のないものを追っかけていただけ。

要するに、自分の将来に長い時間をかけることで、現実をぼかしていただけなんだ。
明日のことを考えられないから、先のことを考えて誤魔化していただけなんだ。
“夢”というものを真剣に考えることから逃げていただけなんだ。

夢を口にするのは自由だし、簡単だ。
だけど、夢を口にする人は、時として現実を見ていない。
ただ、その言葉が持つ前向きな側面のみを自分に当てはめて、上手くいかない現状から非難する安全地帯にしているだけだ。5年前の俺みたいに。

それに、夢を実現させるのは、楽しいことばかりじゃない。
時には苦しいこと、辛いことを乗り越えていかなければならない。
夢の実現へ向かう道のりは、華やかなものじゃなく、地味で、目立たなくて、つまらないものばかりだ。

俺は、そんなことから逃げていた。
楽して生きて、時間が経てば全てが上手くいく。
そんな風に考えていた。

だけど、夢ってやつは、目の前にないと不安になる。
あまりに遠くにありすぎると、追いかけるのも辛くなる。
多少は手の届く範囲にあるものじゃないと、段々と現実味がなくなっていく。

結果、夢は自分を苦しめるものでしかなくなる。

叶えたい。でも叶えられない。
たどり着きたい。でもたどり着けない。

そんな風に、あれほど自分を奮い立たせ、気持ちを明るくしていたはずの夢が、自分の人生にとって何の利益もない、むしろ害でしかないものになってしまう。

だから追いかけるのをやめる。
そして、毎日をただひたすら無為に生きる。
そしてまた夢から遠ざかる。その繰り返し。

こんなこと考えずに、普通に生きて来れたらいいよ。
退屈だろうけど、それが一番幸せなことなのかもしれない。
だけど俺は、一瞬とは言え、こういう現状に足を突っ込んでしまった。
自分の夢に自分が苦しんで、結果何もかもに無気力になりかけていた。

今、俺には“夢”がある。
そしてそれは、色んな人の好意で、実現可能なところにある。

真夜中の新宿駅南口の甲州街道で、誘導棒を振りながら追いかけていた“夢”とは、訳が違う。
自分を前向きにさせてくれる、具体的で地に足が付いたもの。

一昔前の俺ならありえないものだけど、誰でも夢を追いかける権利はあるでしょ?
だから俺は毎日頑張ることが出来る。
今ここで頑張らなかったら、また絵に描いた非現実的な“夢”を追いかけて、疲れきっていた毎日に逆戻りだから。


あなたには、“夢”がありますか?
その“夢”は、実現可能なものですか?
その“夢”に向かって、努力をしていますか?

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