老いゆく日本

2005年11月13日
ゼミ選択を機に、結構本気で自分の将来とか、今後の展望などを真剣に考えることが多くなった管理人ですが、最近ある事に気づいたんです。

散々言われてることですが、日本は今「高齢化社会」化しています。

国民の平均寿命はどんどん延びてきて、それとは対照的に出生率はどんどん低下している。
何百年先には日本の人口がゼロになる・・・とかいう検証を、何かのニュース番組で見たことがあります。

そんな先まで生きていることは確実にあり得ないだろうから、今の俺にそんなニュースは関係ない。
恥ずかしながらそんな風に考え、高齢化問題を真剣に考えなかった自分がどこかにいます。

でも、つい先日福井県(だったかな?)で起きた、老夫婦の火葬場での焼身自殺事件。
あれを機に、考え方ががらりと変わったような気がします。

自殺した老夫婦は二人暮しで、認知症の奥さんを旦那さんが高齢にもかかわらず一人で介護していた。
ところが、その旦那さんが重い病気にかかり、二人の将来に絶望した旦那さんが奥さんを連れて焼身自殺した。
事件の概要はこんな感じだったと思います。

非常に痛ましい、気の毒で仕方がない事件ですが、何が老夫婦を心中に追い込んだんでしょう?
それは端的に言えば「日本社会の高齢者に対する、施設や制度の面での様々なケアの不備」だと思います。

うちの家族も、もう病院から出ることは一生不可能だろう、という親族を二人抱えています。
二人の病院を決める際、一番揉めたことが「どこの病院に入院させるか」という事でした。

それは、「こっちの病院は設備がいいし、でもこっちの病院は費用が安いから・・・」なんていう次元の話ではない。
ただ単に「入院させてくれる病院がどこにもない」だけなんです。

なぜどこにもないのか?
どこの病院も、寝たきりの患者さんや、認知症が始まった老人さんを多く抱えていて、新しい人を受け入れる余裕がないのです。

幸いうちの場合は自宅から割と近い所にたまたま空きがあったのでそこに入院させることが出来ましたが、それでも家から離れたところに入院させる場合とは桁が違うほどの費用がかかり、そしてそれは今でもかかっています。
それでも何件もの病院や施設を訪ね、その度に断られて、やっとのことで見つけた希少な場所でした。

我が家の場合にしろ、今回の福井県の場合にしろ、本当に老いや障害で困っている人のための制度や設備が今の日本で完璧に整っていると言えるのでしょうか?

日本では、医療の技術が飛躍的に進歩し、結果平均寿命は延びたと言えるかも知れません。
しかし、本当に幸せに暮らしているご高齢の方は、果たしてどれくらい日本にいるのでしょうか?

何かの雑誌の記事で、日本は医療技術は上がったが、末期患者や重度の障害を持つ患者に対するケアや制度に関してはおざなりのままだ、と書いていたのを読んだことがあります。
これも、医療技術の向上ばかりを追い求めた結果招いた悪しき事態なのではないでしょうか。

今まで、真剣になって高齢化問題に取り組んだ政治家が日本にいましたか?
政治家は、庶民とは比べ物にならないほどの年金を受け取り、庶民とは比べ物にならないほどの給料で購入した庶民とは比べ物にならないほどの豪邸があるから、自分の老後など心配していないのかもしれない。
だから真剣に高齢化問題を考えられないのかもしれないし、俺も若かったから真剣に考えてこなかった。

だけど、俺たちが死んでも、日本ではまだしばらく人が暮らしているだろう。
何より、俺も俺の周りの大切な人も、いつかは老いて動けなくなる日が来る。

悔しいが、その頃になったら今のように「何でも自分でやってやる」という気力も体力も残っていないだろう。
いつかは国に依存する時が誰しも必ず来ると思う。

そんな時、国は何をしてくれるのだろうか?
ごく一部の、経済的に恵まれた階級の人々のみ優遇された制度と設備のままで、恵まれない人達は孤独に死んでゆく。
そんなふざけた状態のままなのだろうか?

今籍を置いている学科の関係上、俺は今まで自分の将来を考える基準を全て「下の世代」を基準に考えてきました。
しかし、長い目で今後を見据えた場合、「上の世代」に対して働きかけることが今後の日本には重要なのではないだろうか。
自分の代で何も出来なくても、自分より下の代が何かしらの形で今の制度を変えてくれる。
そういう土台みたいなものを作っておくことも大事なのではないか。

そんな風に考えるようになりました。

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